サウンドバーとか映像と音について思ってること
サウンドバーについては個人的には以前はそこまで良い印象は持っておりませんでした、とはいえ、リアルサラウンド環境を構築する資金以前に住環境が自分にはないということで、サラウンド環境についてはすっかり諦めておりました。自分の趣味がどちらかといえば 2ch のオーディオ再生に軸足があることもその要因の一つかなと思います。
映画のパッケージメディアは(プレーヤーは持ってなかったけど)LD 時代から購入し始めて、DVD、BD、配信と時代は流れていますが、応じてそれなりに購入してきていて、ハードよりはソフトに投資をしてきたところはあります。
ただ、映像コンテンツに対しては、映像の迫力・画質が重要なのは言うまでもないのですが、それと同じかあるいはそれ以上に、音声の迫力・音質は重要な要素ではないのか?と考えています。
多くの方が親しんできたであろう、ブラウン管時代から一部のモデルを除けば?テレビの音質は画質に比べると軽視されていると個人的にはずっと思っているのですが、薄型テレビになってそれに拍車がかかっているというのは、あながち間違ってないと思っています。なので特に映画の音声再生環境の充実は常に頭の片隅には置きつつ幾年…という感じです。
そういう訳ですから、昨年4月に DELL の U3421WE を購入したことで、パーソナルスペースで映像をこれまでよりも迫力ある画面で観られるようになると「次は音声だっ!」となるのは必然。このコロナ禍の中、引きこもり需要も相まって、サウンドバーの売り上げも伸び、より良い製品が増えているらしいということで、改めて調べ始めました。自分が購入したい条件としては、
- Dolby Atomos(ドルビーアトモス)対応
- 映画は元より、Apple Music がドルビーアトモスによる空間オーディオとロスレス配信を開始したので、それを楽しんでみたいというのも一つの理由
- 横幅は 1m 以下、出来れば 80cm 程度
- これは U3421WE の幅が 813.3mm なので、それと同じくらいかなーという程度のこと
- 価格
- 実売5万円前後までの製品で気に入るものがあるといいなぁ
という感じ。
段々と候補を絞ってきた中で、個人的に本命は SONOS の Beam (Gen2) でした。が、自分の環境に入れることを考えると、HDMI 端子は入出力各1系統は必要なことに気がつき、諦めることにしました。自分の環境では、今年の初売りでようやく手に入れた Apple TV 4K とディスプレイの間にサウンドバーを入れることになるので、入出力端子が必要なんですよね… ということで、自分の中の候補としては、
が残っています。「おぅ、これ忘れんなよ」っていうのがあれば、教えてください。
いろいろとネット上の記事や評価を眺めているのですが、同じモデルでも酷評されているケースもあれば、絶賛されているケースもあり、面白いなーと思ってます。こうしたことになるのは、主観の評価なのでユーザの好みの差が大きく出るだろうと言うことが一つ。まぁ過度な期待を持っていて買ってみたけど、期待通りにはほど遠くがっかりというケースもあるでしょう。また、それぞれ設置される場所は異なるわけで、同じ製品であっても設置された部屋の広さによって印象が随分異なるケースもあるだろうと想像しています。
もちろん自分も購入してからがっかりとはなりたくないのですが、自分が設置しようとしている環境は、ニアフィールド環境ということで、多くのユーザーが設置されているであろう環境とは大きく異なると思うので、レビューの多くはあまり参考にならない可能性があるなーということで、店頭での試聴もしていますが、なかなか悩ましいところでした。
そんなところに、JBL BAR 5.0 MULTIBEAM が Rentio でレンタル することが出来る(14泊15日 4,980円)のをたまたま何かで目にしたので、申し込み2週間試用することにしました。実際に設置したい環境で体感出来る機会が得られると言うのはありがたい機会です。
実際に14日間、使ってみた
届きましたので、さっそく試用。
自分の場合、音源は Apple Music、CD、ダウロードしたハイレゾ音源、radiko などが主なので、Mac か Apple TV 4K、もしくはそれらを通さずに再生することになるのと、今回はサウンドバーの効果を確認したいというのが主目的でしたので、Wi-Fi や Bluetooth 絡みの設定・機能は試していません。また、Amazon や Google の連携機器は所有していないのでこちらも未確認。
Dolby Atomos は基本的に常にオン。低音の調整も出来るようになっていますがこれはデフォルトの LVL 3 のままにしました。リモコンは、Apple TV 4K と接続することで、 Apple TV 4K のリモコンで音量調整が可能になるので、基本的にはそちらを使用。JBL のリモコンは独自の設定をする場合と動作確認時に利用した程度。
設置場所は、2ヶ所。
- ディスプレイの後方に棚があるので、その上に百均ショップで手に入る、メタルラックを置き、その上に設置。申し訳程度に直径80mm/厚さ25mm の木材(カツラ)を2枚インシュレーター代わりに挟んでます。
- ディスプレイ下の机上のスペースに設置
の2つのパターンを試しました。
ディスプレイ後方に設置した場合の BAR 5.0 MULTIBEAM 本体から天井までの高さは約47cm、ディスプレイ下の場合は約140cm。左右の壁との距離は、左約120cm、右約50cmといったところ。部屋は6畳和室。設置場所を変える度に、Automatic MultiBeam Calibration(AMC) と呼ばれる音場測定機能の設定をやり直しました。やり直さないとかなり残念な印象。その上で、上下で大きくは変わらない感じだったので、スペース的にも自分の場合は上に設置して常用しました。
音楽再生
さて、Apple Music のラインナップには「空間オーディオ:ジャズ」が用意されていますので、まずはそれを再生。
通常の 2ch 再生時でも空間の広さを感じられる音源ですが、BAR 5.0 MULTIBEAM でも同等以上には感じました。縦方向や自分の後方にもより広がったか?と言われるとそこまではさすがに無理ですね。
ただ、音質的に悪いという感じは一切なく、バーの横幅以上の空間を感じられますし、十分に音楽を楽しめる音質が得られると思いました。「空間オーディオ:ジャズ」の中では、Norah Jones の「The Nearness of You」が個人的にはかなり雰囲気も良かったです。
対して、Dolby Atomos 音源ではないロスレスあるいはハイレゾの音源もいくつか再生してみましたが、こちらは個人的にはイマイチな印象で、ちょっと自分には常用にはならない感じでした。
映画再生
次は映画。
まずは「スパイダーマン:スパイダーバース」。
ウェブ・スイングのシーンがどんな感じになるのか?という期待がありましたが… まぁさすがに縦横無尽に駆け巡るという感じにはなりませんね。とはいえ、セリフにしても「距離感」は感じられましたし、ディスプレイの上下に BAR 5.0 MULTIBEAM を設置しているわけですが、ちゃんとディスプレイから聴こえてきます。Mac の TV.app で 2ch 再生するよりもずっと迫力のある音になります。ちょっと確認という感じで見始めましたが、気がつくと1時間以上経っていて、のめり込んでいたことに気づきました。やっぱり「音」は大事。
観ている最中にこれまでになかったことがありました。ツマが部屋にやってきて「何の音かと思ったらこれか」と。これまで音楽にしても動画・映画にしても、音量が大き過ぎて文句を言われたことは何度かありましたが、今回のようなことは初めてでした。また怒られるのか?と思ったのですが 😅 うるさいというわけではなく、聞いた(感じた?)ことのない音だったので確認しに来ただけ。ということだったのですが、それだけ低域が出ているということにもなりましょう。思っている以上に響くことがあるのかもしれませんので、何らかのサウンドバーを購入した暁には、対策が必要になるかもしれません。
日を改めて Apple TV で配信されている「ファウンデーション」の第1話を視聴。
こちらはセリフの再生が重要にもなるドラマですが、どのシーンも明瞭に聴き取ることが出来て楽しめました。予備知識1が全くない自分でしたし、セリフのやり取りで進んでいく内容なので途中で退屈になるかな?とも思いましたが、全くの杞憂に終わりました。1話約1時間があっという間で、どんどんのめり込んでいきました。それだけ音質が良いのだと思います。欲を言えば、宇宙船の発進のシーンや爆破のシーンはもう少し迫力や移動感みたいなものががあったら良かったと思いますが、視聴中は気にはなりませんでしたね。
気になったところ
基本的にはマニュアル要らずではありますが、音場測定などはリモコンで独自のボタン組合わせが必要なので、マニュアルに目を通すことは必須です。とはいえ、一度、設置が終われば頻繁に変更する部分ではないでしょうから、そこまで困ることもないでしょう。
まとめ
今回、有料であってもこうした機会を得られたのは良かったです。とはいえ、JBL BAR 5.0 MULTIBEAM を購入するかはまだ決めかねています。特に DENON DHT-S517 はかなり気になる存在なんですよね。こちらも試用できる機会があるとありがたいのですが… またサラウンド感を求める場合は当然、リアルサラウンドには敵わないわけでそこをどう考えるか?ととうに諦めたはずのことをまた考え始めて堂々巡り…
JBL BAR 5.0 MULTIBEAM を14日間、使ってみて感じたことをまとめると、
- ○ Apple Music の「空間オーディオ」音源の再生に関しては個人的には好印象
- × ロスレス・ハイレゾの2ch音源はイマイチ
- ○ 映画の再生音はなかなかの迫力で好印象
- × サラウンド感については、頭上や背後からも音が聞こえるという感じはないので、過剰な期待は禁物。それを求めるのであればリアルサラウンド環境を検討すべし
というところでしょうか。
また、今回のレンタルについては当初、届いた個体は不具合があったようで、電源を入れるとプツップツッっとノイズが断続的に発生し、実際に信号を入れると常に短時間で音声が途切れるので、試用に値しませんでした。到着した当日夜に動作確認する中で気付いたので、その日の内にサポートにメールでご連絡をしたのですが、翌日午前中に連絡があり、何度かやり取りした後、交換品を送っていただくことが出来ました。交換品は翌日の午前中には到着し、申し込んでいたレンタル期間も変更してもらって、スムーズなやり取り、迅速な対応をいただけたことを残しておきたいと思います。もちろん、間にいる運送会社があってこそでもあります。感謝申し上げます。
製品ジャンルは異なりますが、例えば BOSE の Sleepbuds II は公式サイトからの購入だと 90日間返品・返金保証という対応を取られています。どこのメーカー、どの製品でも同じような制度を取り入れることは難しいでしょうが、購入したものの店頭の印象とは違ったとか自分の環境では合わなかったということで、今の時代、ネガティブな結果になり、それが SNS などで闇雲に広がっていくのは、メーカー・ユーザー双方にとってハッピーではないでしょう。メーカー単独で難しいのであれば、Rentio のようなところと組んでみるというのもメーカーにとっては選択肢の一つになるのでは?と思うのですが、どうなんでしょうかね?
なんにしても購入前に試用が出来る機会は自分には基本的にこれまでなかったことで、購入候補を事前に試せると言うのは実に良かったです。今後も使ってみたい製品が登録されていれば、利用したいと思っています。
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原作はアイザック・アシモフの同名の小説。 ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 (ハヤカワ文庫SF) ↩︎